息を潜める匠の美しさ
京繍工芸士吉岡一郎

京繍の特徴は、絹糸や金糸、銀糸、うろしを使い100通りもの技法を駆使した完成度の高さです。通商産業大臣認定伝統工芸士の吉岡一郎先生の京繍作品は様々で、着物に装飾するのはもちろんのこと、小物から刺繍の能面まで多岐に渡ります。四季折々の風景、和を代表する植物と動物の模様、更にコンテンポラリー芸術を取り入れた作品を、驚くほど多彩で繊細な色糸で優美な刺繍を施されています。色と線使いの高度な創意で光を巧く捉え、平面に奥行きを表現という不可能なことを覆されました。
筆者の母国である中国の最も刺繍が盛んでいる地域にでも、吉岡先生が足を運び、刺繍の普及に惜しまず、御尽力しました。初めて京繍に触れましたが、初めてではないような懐かしさと温もりが作り手の人柄と生き方を語りました。息を潜めるような美しさとその背後の物語を忘れません。

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